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日本で最も有名な日本人を『水曜日のダウンタウン』が調べるとこうなる2020

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22日に放送された水曜日のダウンタウン2時間スペシャル。
ネットニュースに載るためネタ作りに奔走する企画では、クロちゃんをも飲み込むフワちゃんの破壊力を見せつけ、春日VS団長の我慢頂上対決はバラエティにおいて見たことの無い画を提供してくれた。

もう一つの企画が、当ブログでも記録として3年ほど前にも取り上げていた「日本で最も有名な日本人」。またやるのか、と思ったが、当時自分も「統計的な価値が高いと思うので、毎年とか3年に一回くらい特番でやったらどうか」と言ってて、まさにその通りの展開(笑)。
今回は故人も含めた古今東西 日本人知名度ランキング」とのこと。結果はともあれ、定点観測しておくと楽しそうなので今回も残しておくことにしました。

前回気にしてなかったんだけど、調査方法は各ジャンルの有名人1000人をピックアップし、年齢分布を基に全国各地で聞き取りを行うというもの。つまり、この1000人から漏れていたら選ばれないという恣意性を孕んでいる。ただ、これより最適な方法も無いと思われる。

3年前からの時の流れを感じさせる有名人もいれば、露出減っているのにランクが上昇しているような、若干の誤差が大きく影響したと思われる人もいる。
また、20代まで知名度抜群なのに、10代で大きく落ち込む有名人が多い。この世代の断絶はどのあたりにあるんだろう。露出が最近無い人は当然のこととして、10代がテレビ観てないとかもあるかもしれないが、顔面力のある国民的スターが減っている、または出てきていない、ということかもしれない。

ランキングは以下の通り。( )内は前回ランキング

 

100.みやぞん(初) 前回も見られたイッテQ効果は健在。

99.高田純次(初) 明らかに露出減り、若者認知度低い

98.日村勇紀(初) 冠番組も好調

97.大谷翔平(初)

96.坂上忍(86) 帯出てるのに意外

95.伊藤博文(初) お札で世代間認知度の違いあり

94.高橋英樹(67) 大幅ダウンの納得感

93.相葉雅紀(95)

92.春日俊彰(初)

91.林 修(73)

90.宮根誠司(63)

89.田中将大(50)

88.篠原涼子(初)

87.岡村隆史(70)

86.松本潤(91)

85.萩本欽一(38) 自然な下降

84.二宮和也(76)

83.広末涼子(93)

82.木梨憲武(84)

81.石原裕次郎(初) 昭和の大スターゆえ若者認知度低い

80.手塚治虫(初)

79.福沢諭吉(初)

78.有吉弘行(46) 謎のランクダウン

77.大野智(78)

76.矢沢永吉(55)

75.阿部寛(43)

74.長嶋一茂(初) 一茂がここにいるならさち子や良純も入ってたはず?

73.東国原英夫(18) 乱高下

72.ガッツ石松(32) 自然

71.小泉進次郎(初) この3年を象徴

70.内村光良(42)

69.石橋貴明(92) 謎の上昇

68.泉ピン子(21) 自然な下降

67.豊臣秀吉 (初)

66.大坂なおみ(初) この3年を象徴

65.ベッキー(39) 代償

64.指原莉乃(87)

63.徳川家康 (初)

62.錦織圭(58)

61.郷ひろみ(48)

60.みのもんた(22) 引退同然なので自然

59.広瀬すず(初)

58.堺正章(31)

57.南原清隆(80) 謎のウッチャン超え。帯の力?

56.千原ジュニア (初) 番組のゲスト

55.長嶋茂雄(47)

54.出川哲朗 (23) 謎の大幅ダウン。イッテQの神通力は落ちてるとはいえ……

53.櫻井翔(82) 櫻井とニノの差はZEROがあるかないか?

52.孫正義(初) 前回選んでいなかったのでは?

51.野村克也(56)

 

50.松井秀喜(27)

49.具志堅用高(初) 前回選んでいなかったのでは?

48.石田純一(30) コロナで知名度キープ。。

47.清原和博(37) 謎アップ

46.星野源(初) この3年を象徴

45.松田聖子(33)

44.王貞治(45)

43.加藤浩次(83) スッキリ継続は力なり

42.稲垣吾郎(初) 前回選んでいなかったのでは?

41.アントニオ猪木 (11) 自然な下降

40.渡辺直美(54)

39.蓮舫(28)

38.樹木希林(26)

37.氷川きよし(初) 前回選んでいなかった?

36.研ナオコ(20) 衰えぬ顔面力

35.羽生結弦(61)

34.渡辺謙(51)

33.香取慎吾(68) 露出少し復活したから?

32.木村拓哉(29)

31.デヴィ夫人(9)

30.坂本龍馬(初) 高知知名度100%

29.所ジョージ(10)

28.草彅剛(初) 香取超え。前回選んでいなかったのでは?

27.浅田真央(25)

26.浜田雅功 (24)

25.笑福亭鶴瓶(8)

24.マツコ・デラックス(7) 特段露出減ってないのに有吉共々謎の結果

23.桑田佳祐(59) ここ数年サザン活動活発化

22.福山雅治 (34)

21.美空ひばり(初) 10代認知度の低さ

 

20.野口英世 (初) 万札より遥かに強い。

19.小池百合子(49) コロナで知名度も「密」に

18.武田鉄矢(52) 謎アップ

17.ダルビッシュ有(19) 名前強い

16.西郷隆盛(初)

15.松本人志(17) 「清原じゃねえか?」

14.聖徳太子(初)

13.イチロー(13)

12.加藤茶(16)

11.小泉純一郎(12) 首相時代を知らない10代だけ知名度40%

 

10.織田信長(初) 歴史上の人物では最高位。

9.北島三郎(40) 10代は30%だが、30代以上90%。前回との差は一体。

8.志村けん(15) コロナで知名度が増してしまったのは否めない。

7.中居正広 (14) 

6.和田アキ子 (2)

5.ビートたけし (4)

4.明石家さんま(5)

3.安倍晋三(3) 「日本の給食当番」(爆)。最高のあだ名。

2.黒柳徹子(6) 名前も顔面も忘れにくい

1.タモリ(1)

 

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という訳で、3年前と同様1位はタモリ。強い。
いいともが終わって5、6年経つけど、CM含め露出が全く減った印象が無い。
徹子と一緒で、名前も顔も覚えやすい。

ちなみに、前回ランクインして、今回ランクインしていない方はこちら。
時の流れを残酷に感じさせる人もいれば、意外な人もある。故人の壁に弾かれてしまった人もいるだろうし、前回結構上位だった人は、そもそもサンプルの1000人に選ばれていない可能性もあり……。

長渕剛(100)/長瀬智也(99)/桂歌丸(98)※この間で故人に/江頭2:50(97)→YouTuberに/田村淳(96)/今田耕司(94)/米倉涼子(90)/渡哲也(89)/羽鳥慎一(88)/梅沢富美男(85)/吉田沙保里(81)/芦田愛菜(79)/古舘伊知郎(77)/ローラ(75)CMしか出てない/織田裕二(74)/舛添要一(72)/梅宮辰夫(71)/徳光和夫(69)/ブルゾンちえみ(66)※象徴的/きゃりーぱみゅぱみゅ(65)/澤穂希(64)/麻原彰晃(62)※前回は悪意で入れ込んだだけ?/関根勤(60)/ピコ太郎(57)※象徴的/小林幸子(53)/石原慎太郎(44)/谷亮子(41)/福原愛(36)/市川海老蔵(35)※さすがに選ばれていないのではと感じる

 

令和の『半沢直樹』はどんな顔面大相撲を見せてくれるか

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コロナ禍でブログを書く時間はいくらでもあったはずなのに、力なく4ヵ月が過ぎてしまった。もはや3年くらい経ったのでは?と思いたくなるような、一方で時が止まってしまったのでは、と思いたいような日々。

半沢直樹』の続編がついに今日始まる。空前絶後の視聴率で幕を閉じた前シリーズから丸7年。「そんなに前だったのか」と驚きを隠せなかった。そのくらいおっさんの顔面のインパクトが残っているからだろう。7月に入り放送された特別総集編を観たが、総集編とはいえその特濃ぶりは全く衰えておらず、期待は高まるばかり。
令和の、そしてコロナの世に、より激しくなったコンプラ・ポリコレの波を半沢はどう乗りこなしていくのかも注目したい。ハラスメントにいかに立ち向かえるかがテーマだっただけに、容赦なくやるとは思うけど……。

とりあえず、今日は、当時書いた原稿や写真を使いながら、顔面煽り記事を残しておきます。

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予告を見た当初は、「倍返しだ!」に象徴されるように、オーバーな演技・演出から敬遠していた『半沢直樹』。当時はこんな国民的大団円を迎えることになるなんて、全く予想してなかった。

このドラマがヒットした要因は、とにかく「ここまでやって良いんですか?」と役者が訝るほどリミッターを外してしまった演出サイドと、その期待にばっちり応えるどころか、役者自身もノってきて訳分かんないくらい面白くなってしまった「顔面大相撲」にあった。


見よ、この顔面を!
人の顔面は、こうも面白くなるのである。

小木曽次長

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大阪編で強烈なインパクトを残した小木曽次長。証拠隠蔽。


古里

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真っ白な顔に紅をさしたかのような唇、そしてこのいやらしい表情で、小物ながら近藤や半沢に立ちはだかった京橋支店の古里。


近藤

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サラリーマンの現実代表。
ブルーマンデーに苛まれるおっさんの心をつかんだであろう、滝藤賢一扮する近藤。
もう、彼の顔は見てるだけで腹がゆるくなりそうだった(笑)。
滝藤賢一、今や主演張る俳優だもんな。「出世」した。

 

岸川部長

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最終回のキーマンになり、最後に大暴れした岸川部長。
妻が何気に松居直美

 

黒崎

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忘れようにも忘れられない。
さすが歌舞伎役者としか言いようの無い豊かな顔面力を駆使し、おネエキャラで大ブレイクした片岡愛之助扮する金融庁・黒崎。今は紀香の旦那。

 

大和田常務

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そして。
やはり最後を締めるのは、ある意味「裏視聴率男」だった香川照之扮する大和田常務。
ちょっと最高過ぎて、最終回は一挙手一投足、一台詞も聞きもらすことが許されなかった(笑)。

 

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セルジオ・レオーネばりの超クロースアップで近藤を懐柔しようとする大和田常務。このシーンはマジでイカれてた(笑)。

 

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土下座前に、あまりの恥辱から声にならない叫びをあげる大和田常務。
この土下座シーンは完全に歌舞伎の世界。
便座に座ろうとするおっさんみたいにも見える(笑)。


いかん、好き過ぎる、大和田常務が。
でも、みんな大好きだったから、こんなパロディが延々繰り返されるわけで。
歴史に残る名作には、素晴らしい悪役がつきものですね。

 

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そういえば最終回、大和田常務が見ていた映画がなぜ『東京物語』だったんだろう。
憎めないよなあ。

 

 

Today's MV : King Gnu - Teenager Forever

日本のアーティストのMVを観て、久しぶりに純粋に面白かったし、曲がより好きになった。そして、それが国内トップクラスの人気を誇るバンドだったことがうれしい。裏を返せば、内外問わず、最近は面白くないMVばかりで窒息しそうでもある。

井口のタンクトップ姿が強烈なインパクトを残すが(笑)、あくまでKing Gnuは強烈な4つの個性の集合体なのだいう意思表明のようなMVだ。井口はフィリピンで酒池肉林の限りを尽くし、常田はロシアでワカサギ釣り?、新井は親孝行をして勢喜は新婚旅行。バンドの演奏シーンは一切なし、4人が交わるシーンも一瞬、100万円を配布する時とラストだけだ。

先日の『情熱大陸』での密着でも、4人のやってることは点でバラバラだった。ギリギリで保たれているように思えるバンドのアンサンブルも、4人の中でのS極とN極が揺らぐようなスリルがある。
彼らは自然体でやっているんだけど、本当に久々にスーパーバンドが出てきたのだなと。しかも仮にこの先解散したとしても後腐れが全然無さそう。


ひと昔前にもこういうコンセプトで撮ったバンドがいたような気がするも、探し出せず。 

 

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  • アーティスト:King Gnu
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ネットフリックス映画を考える その2:『アンカット・ダイヤモンド』『マリッジ・ストーリー』等

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前回ではかなり否定的な目線でネットフリックス映画を取り上げたんだけど、その2ではめっちゃ面白かったわけじゃないけど良かったものを並べています。

まずは、アダム・サンドラーがゲスな宝石商ハワードを怪演した『アンカット・ダイヤモンド』
まずネタバレでもなんでもないので触れると、これはダイヤモンドの映画ではない(原題は「Uncut Gems(宝石)」。さほど重要でもないから適当な邦題つけたのか?)。

本作の強烈な個性となっているのは尋常じゃないうるささ。
サフディ兄弟の作品を観るのは初めてだが、こういう作風なんだろうか。
ハワードは借金取りや仕事相手、家族に愛人と四方八方と100人組手のようにしゃべり倒していく。べしゃりで圧倒して本質(返済や修復)から目をそらし続ける。
後半は物語のフォーカスが絞れて普通の映画のスリルを表現していくのだけれど、肝はやはり前半にあると思う。
前半は登場人物から敢えて引いた長回しを入れたり、OPN(oneohtrix point never)のドリーミーな音楽も相まって、70年代頃のニューヨーク映画の雰囲気もある。あ、THE WEEKNDも出てます。
ラスベガスにはああいうスポーツ賭博のコーナーがあって驚いたが、これが舞台になった映画を観るのは初めて。

アダム・サンドラーはどんなに強面をつくっても、この笑顔と白い歯。
アナ雪でおなじみイディナ・メンゼルのカイヤっぷりも怖い。

 

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次は『フランシス・ハ』『イカとクジラ』のノア・バームバック監督『マリッジ・ストーリー』
アダム・ドライバースカーレット・ヨハンソンアカデミー賞にWノミネートされ、助演のローラ・ダーンが受賞するなど高く評価された。
『ブルー・バレンタイン』『こわれゆく女』等、観るだけで心をすり減らしていく夫婦ゲンカ映画の系譜で、弁護士に食い物にされていく様は、監督の実体験なのだとか……。

互いの良いところを伝え合う印象的なシーンで一瞬ほっこりさせた後は、離婚の無間地獄で真っ逆さま。ただ、どこかそんな地獄にもおかしみがあって、夫婦や子供、二人を見守る家族の腐れ縁を感じさせる、少しばかり救いのある物語になっている。

アダム・ドライバーが顔を真っ赤っ赤にして言ってはいけないことを言う大ゲンカのシーンは、名演技という言葉では表せない、なんというか俳優としての全エネルギーを使い果たした凄まじいものを見せてもらった。夫婦映画の歴史を塗り替えた瞬間だと思う。

 

予告で大フィーチャーされてるポールの「Maybe I'm Amazed」、改めて聴くと最高。
Abbey Road』の「Oh! Darling」ばりの絶唱とソングライティング。

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最後は番外編で『エル・カミーノ:ブレイキング・バッド THE MOVIE』
これは『ブレイキング・バッド』の続編なので、面白くないはずが無いわけで。

タイトルからして「その先」だと思っていた時間軸の手前の物語だったが、『ブレイキング・バッド』の世界を崩さずに、かつジェシーの生きる道を骨太に描いてくれた。『マインドハンター』とはまた違う車シーンのカメラアングルへのこだわり、これぞなタイムラプスや砂漠のロングショットなど、技巧も秀逸過ぎる。最後は西部劇な味わいすらあった。

フラッシュバックされる登場人物たちとの会話の一つ一つが味わい深いが、撮り下ろしなので彼らの老け具合はつらい(特に金髪豚野郎になってしまったトッド(笑))

 

2回書いてみて思うのは、
・劇場で観ていない
・劇場公開されていたら観に行っていない
・自由を与えたら尖り過ぎてしまう作家でついていけない
から中途半端な評価になってしまうのかも。
『エル・カミーノ』はドラマの続編だから上記すべてクリアしているし、サフディ兄弟やノア・バームバックのようなインディ作家なら配信でも相違無いといえる。

シティ・オブ・ゴッド』『ナイロビの蜂』のフェルナンド・メイレレス監督『2人のローマ教皇や、『ウインド・リバー』のテイラー・シェリダン脚本の最後の追跡など、まだ観てない作品は多い。
『6アンダーグラウンドのように、今は他でドンパチやれないマイケル・ベイに砂場をあげたような作品は面白いのかもしれない。

ネットフリックス映画を考える その1:『アイリッシュマン』等

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圧倒的な資本とグロ―バリゼーション&ローカライズによってドラマ界を制したネットフリックスが、ここ2、3年で映画賞レースに乗り込むようになった。
「配信された映画は映画と呼べるのか?」といった、個人的にはくだらないと思う議論をも呼び込んでいるが、あと数年で、いや来年の作品賞を獲るのはネットフリックス映画かもしれないというくらいのカタストロフィが起きている。

それはなぜか。オスカー経験のある一流の映画監督が撮っているからに他ならない。
つまりネットフリックス映画とは、作家主義復権、クリエイター・ファーストだ。
豊富な資金と裁量を呼び水に、優れた映像作家を集め、多少地味でも何でも企画を通してあげる。クリエイターにとっては神同然。MCUをモデルとするプロデューサー主義の大手スタジオとは正反対のアプローチともいえる。
ネットフリックスが欲しているのは権威であり、ブランドであり、既存のシステム=大手スタジオと映画館ら興行方が牛耳る業界の破壊だ。

ただ、それらは果たして本当に成功しているのだろうか。
賞レースには絡めても、エンタテインメントとして本当に面白いものになっているのか。個人的には少し疑問なのだ。

 

 まずはスコセッシ×デ・ニーロ×パチーノ×ペシという後期高齢者スターが勢ぞろいしたアイリッシュマン』
評価する人の気持ちもよく分かる。だが、とにかく長い。『ゴッドファーザー』なら観れちゃうけど、地味で長いのは……。
実際視聴したほとんどの人が途中で離脱している。リズムが後期高齢者そのものなのだ。

人生の終わりを前にして自分が何をしてきたかを振り返ったら、とっても虚しくなってしまった男の話。周囲のマフィアは人となり以前に登場と同時にいつどのように「死んだ」かが示されるんだけど、あくまで物語の進行に寄与するものでもない。マフィアの隆盛も一瞬のものだが、長生きするのも虚しい。どうすればいいのか。
顔はいくらCGで若くしても動きは70代のそれ。数少ない直接的なバイオレンスシーンは観てて笑えてしまった。
スコセッシがおじいちゃんになったから映画が長くなったとか言われてるけど、イーストウッドは必ずしもそうではないし、尿意も近くなるんだから当てはまらないかと……

個人的に面白かったのは魚のくだりのグダグダ。魚は座席に直に置いたらダメだろ。ホッファの息子が「ブレイキング・バッド」のトッド役の俳優だっただけに。
あと皆言ってるけどあの冒頭の字幕はありえない。無駄なローカライズ

 

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続いてアルフォンソ・キュアロンが自身の少年時代を回想するようにして撮った『ROMA』
ネットフリックスの映画界進出の象徴的作品であり、実際昨年のオスカーの台風の目となった。
タイトルはパリ、テキサスみたいなものでした。

あらすじを全く入れないで観始めたが、長回しとモノクロで是枝または小津っぽい淡々とした家族ドラマということで、結構な忍耐を強いられた感。キュアロンなので当然一つ一つのショットは美しいんだけど……。
寡黙な家政婦である主人公はクソ中のクソ男にひっかかり妊娠。家政婦を雇う妻は旦那に逃げられる。仕送りもなく、4人の子供も置き去り。そんな彼女たちが次第に真の意味で家族になる様を、当時のメキシコの情勢も織り交ぜながら描いていく。
どうしようもなく泣きたいのに、周り(や社会情勢)はそんなの知らないとばかりに慰めにならないし、ましてや主人公を追い詰めていく。
こんなに絶賛されている本作に本音を言えば、印象に残ったのはクソ男のチン〇と犬のクソ。犬のクソはマメに片付ける家政婦であってほしかった(笑)。
一向に片付かない犬のクソと、どう考えてもガレージの幅に合わない車にイライラ(笑)。
 

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ジェイク・ギレンホール&ダン・ギルロイナイトクローラーコンビということでかなり期待してたのが『ベルベット・バズソー:血塗られたギャラリー』
これがひどかった……。

 

画家の怨念によってアート界を牛耳る関係者が呪われていくだけという、まさかのB級ホラー(笑)。『ナイトクローラー』と共通しているのは、ほとんどクソ中のクソしか出てこないということ。
『ヘレディタリー』のあの方も素敵な顔芸を見せてくれる。

ジェイクは批評家役だが、彼のクセの強い演技が健在なこと以外「批評」に値しない……あと、「死体発見係」と化したメガネの女の子の不憫さ。
ナイトクローラー』が本当に素晴らしい作品だっただけに、ただただ残念。


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『全裸監督』だけでなく、ネットフリックス日本法人はエログロでまずは「クールジャパン」をやろうとしている模様。

椎名桔平主演にテンション上がりつつも、観る前からうっすら嫌な予感がして、そのまま的中してしまったのが、園子温があの北九州殺人事件にインスパイアされたという『愛なき森で叫べ』

徹頭徹尾園子温ワールドって感じかつ、これまでの美味しい部分を寄せ集めたストーリーには冒頭から食傷気味で、とにかく長く感じた(園子温は常に長いけども)。
北九州感はあったけど、ミュージカルじみたシーンや射殺事件のラインが蛇足過ぎる。

椎名桔平はいい感じ。ドスの効いた「ノー・フューチャー」は気持ちいい。ただ『アウトレイジ』のように、吸ったタバコを笑いながら警官に投げつけるぐらいのもっと凶暴なヤバさを欲していた。

 

ナイトクローラー(字幕版)

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 『ナイトクローラー』は本当面白いからぜひ。

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 椎名桔平のタバコ投げつけシーン