Today's MV : Harry Styles - Sign of the Times
元ワン・ダイレクションのハリー・スタイルズのシングル“Sign of the Times”が素晴らしい。
MVは、クラシカルな大曲らしいロケーション、カメラ割り、そして、その中をジャニーズのライブばりに浮遊するハリーという、とにかく壮大な仕上がりで素晴らしい。
デヴィッド・ボウイやジョージ・マイケル、プリンスといった、立て続けに逝ったスターへ向けた哀悼・接近ともとれる歌詞と、ブレグジットやトランプ、テロといったイギリスを取り巻く分断と恐怖渦巻く社会情勢へ向けた歌詞で構成されており、総じて「現世からあの世」を想うバラードだ。
曲の世代を超えた親しみやすさ、歌詞の共感のしやすさ、ともに「sign of the times」を捉えた名曲だと思う。
Today's MV : Soundgarden - Black Hole Sun
先日元サウンドガーデン、オーディオスレイヴのクリス・コーネルが亡くなった。
自分はいわゆる、こうして今亡くなって良さに気付いたたちの悪いパターンで、サウンドガーデンはニルヴァーナやアリス・イン・チェインズ、パール・ジャムらシアトルの同郷「グランジバンド」の中でもぱっとしない存在、オーディオスレイヴはレイジの音にこの声は……とまともに聴いて来なかった。
若い頃にかなり強固にそう捉えてしまったため、拭い去るのは不可能かもしれないが、この曲の退廃的な高揚感は格別。クリス・コーネルのダウナーとハイトーンヴォーカルが混ざり合うサビはいつまでもループできる。
どう形容していいかわからないが、花、水色の空、常に不穏で歪んだ世界観は、アントン・コービンが撮ったニルヴァーナ“Heart Shaped Box”のMVにも似た趣がある。あと、このアメリカ家庭を不気味に撮りました感は何かと似てると思ったけど思い出せず。
オーディオスレイヴも、クリス・コーネルがハイトーンで歌いっぱなし、トム・モレロ弾きっぱなしのこの曲はツェッペリンみたいでカッコいい。というか、ツェッペリンを志向しただけであって、となると……。
てかこんなに花火打ち上げてるMVも無いのでは。
そしてアリス・イン・チェインズを久々に聴いてやっぱり最高だと思う。
稀有な迫力を持ったヴォーカルのレインは、クリスの何年も前に亡くなってしまったが。
Today's MV : Bruno Mars - That’s What I Like
Today's MV : Hyukoh - Leather Jacket
一部ではかなり騒がれてる韓国のロックバンド、Hyukoh(ヒョゴ)の新曲「Leather Jacket」。
聴けば分かってもらえるけど、これほどまでに軽やかで芯を食ったロックンロールが隣の国に現れるとは。K-POPはグローバルな戦略性で以て、かつJ-POPの空白を埋めるような形で日本にもすっかり定着したが、韓国のロックバンドがここまで注目されたことは初めてなのではないか。
サビ以外は韓国語で、それがまた欧米のロックバンドにはない独特のリズムを生んでいる。
アメリカのロックバンドのありがちなMVのようでいて、ハングルはどこにも出て来ないのに韓国らしいエッセンスや湿度を感じさせる映像美も素晴らしい。最近観た韓国映画で言うと「哭声 コクソン」にも通ずる感じ。
『アウトレイジ 最終章』特報公開記念! 『アウトレイジ ビヨンド』振り返り
『アウトレイジ 最終章』特報・キャスティング公開記念、続き。
『アウトレイジ』の続編、『アウトレイジ ビヨンド』について昔に書いた記事です。
----------------------------------------
多大な期待を持って公開初日に観に行った、『アウトレイジ ビヨンド』。
聞きしの通り面白かったし、観たかった話の流れがそこにあったんだけど、素晴らしい映画を観たという高揚感があったわけではない。
それはあのラストのぶった切り(強引に切らないと、これは延々と続く物語だからだ)にあったのかもしれないし、こういう感情になる、カタルシスをやや排する作りにたけしの意図があるとすれば、まんまとはまっているんだが。
アンサンブル映画としては『ビヨンド』のほうが面白いし、脚本もこう繋がってくるのかと感慨も深いけど、前作『アウトレイジ』にあった直接的な暴力とかヤクザ社会の台詞回しからくる「おかしみ」みたいなのが、『ビヨンド』は希薄なんだよなあ……。
このシリーズでたけしが挑んだ、しゃべり芸としての面白さが、期待を上回るものではなかったというか。なんか、悪人も必死で生きてんだよね(笑)。
「コノヤロー」の切れも前作のほうが良かったし。個人的には椎名桔平の不在がでかかった。たけしの立ち振る舞いも血の気がなく、『BROTHER』の終盤を想起させるような、どこか達観した、ヤクザの欲望と策略の渦から意識的に離れようとしているものだった。
『アウトレイジ ビヨンド』は、刑事・片岡演じる小日向文世劇場だといっていい。
前作で抗争の火種を作ったのは山王会会長・関口だったが、
今回は山王会弱体化を目論んだ片岡の「スキーム」にヤクザが乗っかる形で抗争が始まっていくからだ。
だから、本作は片岡の登場シーンが異様に多い。
前作のように、事件をもみ消したり情報を提供したりして金をせびるだけの存在ではなく、警察こそ暴力装置であると言わんばかりのシニカルなストーリー展開になっている。
もっと出てほしかったのが、花菱会幹部を演じた塩見三省。
元々の顔のいかつさ、怒声の迫力が凄かったので、武闘派として派手に振る舞ってほしかったが、べしゃりに終始して残念。超怖かったのに。
そして、まさに「特命係長」(笑)だった高橋克典は、まさかのセリフなしのターミネーターっぷり!(笑)。
ちょっと強すぎて歯ごたえ無いぞコノヤロー。