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ネットフリックス映画を考える その2:『アンカット・ダイヤモンド』『マリッジ・ストーリー』等

前回ではかなり否定的な目線でネットフリックス映画を取り上げたんだけど、その2ではめっちゃ面白かったわけじゃないけど良かったものを並べています。 まずは、アダム・サンドラーがゲスな宝石商ハワードを怪演した『アンカット・ダイヤモンド』。まずネタ…

ネットフリックス映画を考える その1:『アイリッシュマン』等

圧倒的な資本とグロ―バリゼーション&ローカライズによってドラマ界を制したネットフリックスが、ここ2、3年で映画賞レースに乗り込むようになった。「配信された映画は映画と呼べるのか?」といった、個人的にはくだらないと思う議論をも呼び込んでいるが、…

『パラサイト 半地下の家族』――オスカーを制したブラック“階段”コメディ

ポン・ジュノ監督『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー作品賞・監督賞・脚本賞・国際長編映画賞と主要部門を受賞する快挙を成し遂げた。アメリカで異例のヒットを記録しているとは聞いていたが、まさか作品賞を獲るとは。これがさらに凄いのは、パルムド…

『コンテイジョン』――パンデミックは絶え間なく進化する

コロナウイルスの流行で、スティーヴン・ソダーバーグ『コンテイジョン』が再び脚光を浴びている。ネットフリックス等で軒並みランクアップしているらしい。 『コンテイジョン』は未知の伝染病のパンデミックの発生から終焉間際までをグローバルに、冷徹に描…

『スリー・ビルボード』――一筋縄ではいかない、だから人は面白い

だいぶ前に観たことになるけど、『スリー・ビルボード』は2018年屈指の作品だった。過去形で語ってしまっても大丈夫だと思う。『シェイプ・オブ・ウォーター』を観ていないので説得力無いが、作品賞を逃したのも不思議でならなかった(脚本賞は『ゲット・アウ…

『15時17分、パリ行き』――高性能な本人出演再現ドラマの意図

先月頭に友人と観たが、イーストウッド翁が、どんな境地でこれを撮ってるのか分からないほど不思議な映画だった。高性能な「本人出演再現ドラマ」を目指した実験であり、アメリカ人の呑気なヨーロッパ旅行ムービーであり、英語は地球語?であり、前二作より…

『赤い影』過去記事――不気味な予兆と暗示に満ちたスリラーの名作

『スリー・ビルボード』でさりげなく使われていたこともあり、最近『赤い影』のことを目にすることが多いので過去記事掘り起こしました。読み返すと、またぜひ観たいと思う傑作。『スリー・ビルボード』に限らず色んな作品に影響を与えているとのこと。 ichi…

2017年観た映画レビュー その3

やっつけ企画、2017年観た映画振り返り。最後は劇場で比較的観て、比較的その場でブログが書ける状況でした。家ではほとんどNetflixでドラマ三昧という感じ。 『アウトレイジ最終章』 やっぱり『アウトレイジ』最高のシーンは、カッターナイフでも機銃掃射で…

『HANA-BI』過去記事――北野流死出の旅

大杉漣が急逝し、テレ東が急遽『HANA-BI』を放送していた。昨日の『ニュースキャスター』で、たけしはテレビの前で涙を流した。僕は、『アウトレイジ』が常連の俳優、久石譲の音楽といった北野映画を表象する要素を捨て、ヤクザと「コノヤロー」だけを残して…

2017年観た映画レビュー その2

やっつけ企画、2017年観た映画振り返り。今回は8~10月に観た映画たちです。予告編も貼っていれば、Amazonビデオへの接続もばっちり(最近の映画はほぼAmazonでさくっと観られるということか! そりゃあTSUTAYAは潰れる)ということで、かなり気の利いたリンク…

2017年観た映画レビュー その1

観た映画は何であれブログに残しておきたいけど、自分の持ち時間と能力ではできなくて。とりあえずツイッターには残しているので、それをまとめて気持ちを落ち着かせるための記事です。ツイッターを始めた2017年の3月から夏くらいまでのまとめ。その前に観た…

『デトロイト』――差別が加速させた悪夢のような役割分担

先週、キャスリン・ビグローの最新作『デトロイト』を観てきた。「デトロイト暴動」が起こった背景から実際の暴動の様子、そして、後半は登場人物たちが拷問に近い執拗な取り調べを受けたといわれる「アルジェ・モーテル事件」を描いた作品だ。 『ハート・ロ…

『デトロイト』ではなく、『ゼロ・ダーク・サーティ』過去記事

2013年2月に書いたものです。 ---------------------------------------------------公開日に観た『ゼロ・ダーク・サーティ』。ウサマ・ビン・ラーディンの発見・殺害に執念を燃やしたCIA女性分析官を描いた物語だ。監督のキャスリン・ビグローは、『ハート…

『ブレードランナー2049』――Why not me

『ブレードランナー2049』ようやく観た。睡眠不足と風邪で2時間40分、予想通り非常につらい鑑賞になった。1カット1カットが長く、まるでタルコフスキーのように絵画的なロングショットが続くため、序盤から中盤にかけて別の記憶=夢を何度も刷り込まれそうに…

『彼女がその名を知らない鳥たち』――この清濁のエクストリーム感

蒼井優と阿部サダヲのW主演という、あくまで個人的にだがキャスティングに魅かれるものが全く無かった反面、『凶悪』『日本で一番悪い奴ら』と快作を飛ばし、来年には既に『サニー/32』『孤狼の血』という二つの話題作の公開を控えている、今邦画界で最も勢…

『ゲット・アウト』――2017年に観るべき衝撃コメディホラー

「レイシズムブラックコメディーホラー」とでも呼ぶべき、トランプが大統領になった2017年に観るべき衝撃作だった。そもそも、トランプが大統領じゃなかったらこんな作品生まれなかったかもしれない。何を書いてもネタバレだが、コメディーというか風刺的発…

フィンチャー近作レビュー寄せ集め

『マインドハンター』について書いたので、ついでに過去に書いたフィンチャー作品のレビューをまとめてみた。『ゾディアック』以降全然評価してないというか、すれ違ってきていて、それがなぜなのかも何となく分かって、『ゴーン・ガール』『マインドハンタ…

『アウトレイジ最終章』――ヤクザと老後とコノヤロー

先日、ようやく『アウトレイジ最終章』を観に行った。練られた脚本、相変わらずの小気味良い編集、爽快で痛くて笑えるヴァイオレンスシーン、どれも三部作を締めくくるにふさわしいエンタテインメントそのものだった。されど、もはや絞り出すように「コノヤ…

『ダンケルク』ーー逃げるは恥だが役に立つ

聞きしに勝る、陸海空恐るべき「映像体験」だった。『ダンケルク』はクリストファー・ノーランの新境地ともいうべき作品だ。凄まじい音響や、終始戦場に流れ続けるハンス・ジマーのローきつめのスコアとは対照的に、戦場という理屈抜きの地獄を前に、ノーラ…

『メッセージ』ーー言葉は分断と時空を超える

6月頭に観たドゥニ・ヴィルヌーヴ監督のSF『メッセージ』について。 ヴィルヌーヴとの相性は全然よくないけど、本作はSF映画らしからぬ感慨が押し寄せる力作だった。宇宙に行かないSFはあるけど、生命すら脅かされることのない(とはいえ危険が迫るシーンはあ…

『言の葉の庭』ーー『君の名は。』前夜と新海誠の妄想譚

昨晩、ずっと観たいと思っていた新海誠の中編『言の葉の庭』がまた地上波で放送されていたので観てみた。この画像の世界観に、個人的に『君の名は。』より親和性が高いのではと思っていたのだ。じめじめする今の時期にもぴったりだ。 実写と見紛うほどの精緻…

『アウトレイジ 最終章』特報公開記念! 『アウトレイジ ビヨンド』振り返り

『アウトレイジ 最終章』特報・キャスティング公開記念、続き。『アウトレイジ』の続編、『アウトレイジ ビヨンド』について昔に書いた記事です。 ----------------------------------------多大な期待を持って公開初日に観に行った、『アウトレイジ ビヨン…

『アウトレイジ 最終章』特報公開記念! 『アウトレイジ』振り返り

制作が発表されていた『アウトレイジ最終章』の特報・キャスティングがついに先日公開された。ピエール瀧は大傑作『凶悪』でのぶっ込みヤクザが最高だったし、『ビヨンド』で良いキレ具合を見せていた塩見三省、そして久々の大杉漣!/『ビヨンド』からの松重…

『ムーンライト』――海と褐色の肌が青く輝く

結局更新が滞ってしまった。空いた時間で映画館に滑り込み『ムーンライト』。爆音というと終盤に流れるラップくらい。へヴィな内容ながらとても静かな作品だ。薄い眠気に苦しみながら、シャロンの孤独な半生を眺めていた。あんなにクロースアップの多い映画…

ピーター・ジャクソン版『キング・コング』を振り返る

『キングコング:髑髏島の巨神』を観る前に、以前に書いていたピーター・ジャクソン版について振り返りたい。 『髑髏島の巨神』はこの先に控えているゴジラとのガチンコ対決を前にしたリブートとされているけど、予告編見るまでは乗り気じゃなかった。なぜな…